第27話
家にいてはうんこみたいに1日を過ごしてしまう。なので駅前のカフェに行った。
あの制服は近隣のそこそこ偏差値の高い学校で、その女子高生は多分健全に部活とかして、勉強して、恋しているわけだろうから、多分タバコを吸わない。ライターを手にするのは初めてだったんじゃないだろうか、なんていらない想像をしてしまい、複雑な気分になった。
又吉直樹の「火花」を読み終わった。とても面白かった。青春と、その後のほろ苦い挫折の物語だった。若くて、金もない、ただ師匠と慕う先輩芸人と過ごす日々が、愛おしくてたまらない。主人公が組んでいた漫才コンビが、30代になるのを目前にして、志半ばで解散するのだが、その解散ライブの場面では泣きそうになった。挫折を描いてるのに爽やかだった。夢破れた人間ははたから見たら悲惨だけど、本人たちの心はいたって爽やかなのかもしれない、と思った。
それを読んだ帰り道、歩いてるとふと短歌が浮かんだ。急いでtwitterでつぶやいてみた。が、いいねも来ないし、なんのレスポンスがないので多分失敗作だ。難しい。まあいい。
ただ道を歩くと気分も落ち着くし、なにかしらひらめくときがある。就活中煮詰まったらとにかく家の周りグルグル歩いてたの思い出した。あの日々があって、今がある。
本ばかり読んでるようで、卒論の仕上げにとりかかっている。「おわりに」を書いた。終わってしまう。学生時代の単位とりとも。その他いろんなことが終わってしまうようで、なんか寂しい。注だの文献リストをまとめる作業は、つまらない。
こないだも書いたが、こんな風にして時間は砂のようにこぼれ落ちていくのだな。
少しでも記録しようと文章を書くのだが。
卒論が終わったら卒業制作に取り掛かる。
なんだか、歌が生まれそうな気がするんだ。