第23話 あまりにももりにあま
寝る時間が非常にもったいない気がする。面白い本を読んだりしたらそう思う。眠いくらいがちょうどいい。好きな人と会ったりしたら眠気なんて吹っ飛ぶだろう。そうやって生きていきたいよな。これは本当に思う。なので俺は6時間しか眠らないことに決めた。昨日の夜にそう決めた。
そうして寝坊した。1時間の寝坊。まったく出鼻を挫かれたよ。そして昼は1時間昼寝した。なんなんだよ。
平野啓一郎の「私とは何か」という新書を読んでいる。私とは何か。俺は常日頃からマジで考えている。俺ってなんだ。自分が一番自分のことを知らないといつも考えている。就活中とかも、自分とはなにで、どこへ行くべきか、丸で検討がつかなかった。
でも他人にも絶対に自分のことは分からない。他人に、「お前はこういう人間だ」と言われると、お前に何が分かるんだよバカ、と思う。ムカつく。お前が見ている俺は俺のほんの一面に過ぎないよ。どっちかっていうとそれは、俺じゃなくてお前だよ。お前自身の何かを俺に投影してるだけだからな。
自分を知るため。全てはそれが目的。でも、「自分探しの旅」には自分はいない。インドとか南米とかいかなくても、自分はもっと内側にいる。内側のもっと内側にいる。自分を少しずつでも知るために、人と話し、出かけ、本を読み、映画を見る。もうそれでいいじゃないか。
テツガクした。
今はバイトの帰りの電車だ。
また鼻の横にニキビができた。
一度、バーで一人で朝まで飲んでみたい。
ロンドン行きたい。
さらば。